
酒をやめたいと願う人はだれでもメンバーになれる――。アルコール依存症当事者の自助会AA(アルコホーリクス・アノニマス)が日本で活動を始めて50年がたつ。この間、仲間同士の支え合いで多くの人が酒に頼る生活をやめてきた。3月末にはさいたま市で、50周年記念集会も開かれる。
東京都内に住む大学職員の男性(59)は酒をやめて31年。やめて、生き方が変わった。「飲んでたころは自分に自信がないのに、大きく見せようとしていた。自分をそのまま出していいと思えるようになったのはAAのおかげ」と話す。
自分、大きく見せようと「潤滑油」に依存
九州出身で、都内の国立大学に合格して上京した。ひとり暮らしの生活が始まると、焼酎を毎日のように3~4合飲むようになった。「2合ぐらい飲むと吐く。吐いたらまた飲むの繰り返しだった」
周りの大学生は都内の有名私立などから来て、とても優秀に見えた。コンプレックスに悩む男性にとって酒は、自分を大きく見せるのに役立ち、人付き合いの「潤滑油」だった。
就職して社員寮に入ったが、飲むと同僚や先輩にからみ、けんかを売るようになり、1年もせず、退職。専門学校講師の職を得たが、昼間に酒を飲んだ後に講義をすることもあった。やがて、手が震えたり幻聴が聞こえたりするようになった。精神科病院で、アルコール依存症と診断された。1993年4月のことだ。
AAとつながったのは、その…